竿と銛を担いで歩いた日々

1980年代生まれの底辺系釣りバカが、釣りと魚突きの思い出を綴るブログ。思い出した事を書きなぐっています。

フグでメバルの活性を上げる【ライトゲーム】

俺のスーツケースには、パックロッドとシマノ1000番のリールが忍ばせてある。

 

旅先で良いポイントを見つけたらチョロッと釣りが出来るようにする為だ。

 

秋のある日、俺は東北地方を旅していた。

宿泊先の目の前は海で、5分程歩けばひなびた小規模な漁港がある。

 

俺は朝飯を適当に済ませると、早速パックロッドを持って漁港へ向かった。

関東圏の漁港なら平日でもどこも釣り人でいっぱいの時期だが、東北の片田舎の漁港の為、俺以外の釣り人はいない。

 

岸壁から海をのぞき込むと、15~20cm程度のメバルがカジメの周りに群れているのが見える。

俺は早速、1gのジグヘッドにワームを付け、メバルの群れの少し向こうにキャストした。そのままゆっくりとメバルのすぐ上にワームを通してやる。

 

釣り人に叩かれている様子も無いし、イージーな釣りだと思った。

 

だが、メバルは全くワームに反応しない。

ワームを変えても、アクションをあれこれ試しても、俺の下らない手品をあざ笑うかのように無視を決め込んでいる。

 

20分程トライし、俺はワームで釣るのをあきらめた。

 

意地でもメバルを釣ってやると思った俺は、車を飛ばし近くのコンビニへ向かった。

餌になりそうなものを物色していると、イカの塩辛を発見し購入。

 

朝の8時前にイカの塩辛だけを買いに来る奴なんて不気味な事この上ないが、皆きっとこういう事情があるのだと思う。

 

俺は漁港に戻ると、イカの塩辛をジグヘッドにつけて再びメバルの群れへ目掛けてキャストする。

動きは格段にワームより悪いが、なんたってこっちは生餌なのだ。

 

お前らイチコロだろ?ん?ん?

 

メバルの前を通して見るが、憎たらしい事に奴らはまたも、俺の手品を見破っていたのである。

ワームよりは僅かに興味を示すが、喰いつくまでは至らない。

 

リアクションで喰わせられるかとあれこれ試していると、イカの塩辛に向かって突っ込んでくる魚影が見えた。

フグである。

 

でかいのが1匹と、小さいのが2匹、従うように泳いでくる。

まるでジャイアンスネ夫だ。

 

ジャイアンイカの塩辛に猛攻を掛け、あっという間に針に掛かった。

イキったいじめっ子が罠に掛かる様は、アニメなら腹を抱えて笑う所だろうが俺はちっとも楽しくない。

 

ジャイアンは巨体を活かして暴れまわり、イカの塩辛が千切れて海中に舞っていく。

スネ夫達は釣られまいと暴れるジャイアンを尻目に、千切れた塩辛を貪っている。

 

するとどうだろう。

それまで俺の仕掛けに無視を決め込んでいたメバルたちが急に、千切れたイカの塩辛に襲い掛かり始めたのである。

 

まさに捕食スイッチが入った瞬間だった。

 

俺はジャイアンを釣り上げ、丁重に海へお帰り頂くと、直ぐにイカの塩辛を針につけなおしキャストする。

 

すると、さっきまでの塩対応が嘘のように、メバルが釣れてしまった。

これはもしや、と思い、ワームを針にかけ、少し早めに巻いてみる。

 

グググッと直ぐにアタリがあり、20cm程度のメバルが釣れた。

 

こうして俺は、旅先での楽しい釣りを満喫する事が出来たのだった。

 

興味が無くても、誰かが美味そうに飯を食べていれば自分にも食欲が湧いてくる。

 

これが他の魚種にも通用するか分からないが、ナブラを天秤仕掛けで演出する弓角や、小魚がマイクロベイトを追い回しているようにも見えるジグサビキ等がある事を考えれば、有効な手法なのでは無いかと思う。

 

人間でもそうだ。

 

別段、興味の無かったクラスメイトが、他校の奴にアプローチを掛けられている事を噂で聞くと、急に意識してしまったり。。。

 

とか。

 

違うか。

 

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