竿と銛を担いで歩いた日々

1980年代生まれの底辺系釣りバカが、釣りと魚突きの思い出を綴るブログ。思い出した事を書きなぐっています。

堰堤のぶっこみ釣りで良型ヤマメを釣る【川釣り】

俺が中学生の頃の話だ。

 

同級生の親父で渓流釣りの名人と言われている人がおり、釣りにくっついて行かせてもらった事がある。

 

本格的な渓流釣り自体を見るのが初めてだったが、その親父の技は今思い出しても冴え渡っていたと思う。

 

何しろ、釣り場に着くなりポンポンポンポンとアマゴとヤマメを釣り上げていくのだ。

俺は渓流竿なんて持っていなかったので、海で使う投げ竿にリールを付けたもので、一緒に釣らせて貰っていたが、勿論全く釣れない。

 

渓流初心者がふざけた道具で、名人の釣り叩いた後を釣って歩くのだから釣れる訳が無い。

 

つまらない思いをしながらも、名人が川を遡上するのにくっついて技を見ていると俺たちは堰堤に行き当たった。

 

その時、名人が言った。

「お前、ここでやってみろ。素人が堰堤で1日粘ってでかいの釣り上げんだよ」

 

それは幾分、嘲笑を含んだ指示であったが、渓流に仕掛けを流すよりも普段やってる海釣りに近いその釣法は俺にとってもなじみが深いものだった為、俺はその指示に従い名人と別れ、堰堤でぶっこみ釣りを始めた。

 

海釣りで使うタックルに樽型オモリとヤマメ用針をつけた仕掛けである。

 

俺は堰堤が足元でえぐれている所にヤマメが潜んでいるに違いないと思って、ミミズのついた仕掛けを垂らして置き竿でアタリを待った。

 

30分くらい待っていると、竿先がブルブルと震え、待望のアタリがやってくる。

 

そのまま一気にリールを巻くと、5m程下の水面に魚体が見えた。

 

柔らかい渓流竿なら良いファイトを楽しめるのだろうが、俺が使っているのは海釣り用の投げタックルである。30cmくらいのヤマメをクレーンで吊り上げるが如く、あっという間に堰堤上にランディングしてしまった。

 

こうして俺は、初めてのヤマメを手にしたのだった。

 

この釣法はその後しばらく続けたが、ほどなくして辞めてしまった。

 

出来るポイントが限られている事と、名人の言う通り、1日粘って1~2匹釣れれば上等、という釣果だっただからである。

 

そして俺は少しずつ、延べ竿を使った渓流釣りをかじっていくのだった。

 

目次に戻る